2023/08/04
暑い暑いと口にする事が多くなってきましたね。今年は3年ぶりに移動制限が解除され皆様、存分に楽しめていますでしょうか。
さて、本日は「転倒を予防していつまでも元気に」ということを書かせていただききます。
まず、はじめに平均寿命や健康寿命という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
平均寿命とは、「0歳時における平均余命」のことで、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活出来る期間」です。現在、平均寿命と健康寿命の間には、男性で8.7年、女性で12.1年と、おおよそ10年間の差が存在し、この期間が“不健康な期間”となります。
転倒は認知症や脳血管障害と並び、主要な要介護要因となり、不健康期間を作り出してしまう大きな要因です。適切な対策をとって、転倒予防とともに健康寿命を伸ばす事を目指しましょう。というのが今回のテーマです。
転倒は、バランス能力や筋力の低下などによって引き起こされるイメージがあると思いますが、それだけではありません。認知・視覚・聴覚の機能、薬剤や環境の影響など様々な要因で転倒を引き起こします。そこで転倒リスク評価質問紙を用いて、自身が転倒しやすい状態がどうかチェックしてみましょう。
脚の機能の簡単なチェック方法として、椅子に座り、立ち上がり動作を5回繰り返し、これを12秒以内で完了出来るかという方法もあります。質問紙と合わせて無理のない範囲で試してみてください。
転倒予防のトレーニングについて簡単ではありますが説明させていただきます。
①椅子からの立ち座り運動
立ち座り運動で、太ももの筋肉を強化しましょう。階段昇降などに不可欠な筋肉です。
1セット10~15回2セット程度行います。
②片脚立ち運動
立ったまま靴下や靴の着脱がしにくくなるとバランス能力低下のサインです。片脚立ち運動でバランス能力を向上させましょう。
片足ずつ10秒、10~15回行います。
※不安な場合は壁などに手を着いて行いましょう。
③足踏み 語想起運動
転倒予防には頭と体を同時に動かす運動も大切です。なるべく早く足踏みをしましょう。足踏みをしたまま5秒間言葉を連続して発しましょう(野菜や果物の名前など発する言葉のテーマを決めて)
5秒間を5セット行いましょう
※立って行っても、座って行っても大丈夫です。
ある程度の運動量を確保できたら次は環境の見直しも必要かもしれません。
転倒は自宅内で発生することが多く、つまづき、滑り、踏み外しといった足元のトラブルで発生しているケースが7割を超えると言われています。特に敷居やカーペットの縁、電気コードなど軽微な障害物につまづきやすいです。また、床面に置きっぱなしになっている衣類や紙類で滑るというケースも少なくありません。
最も重要で簡単に実施できる対策は整理整頓です。床面にあるものはすべて転倒に繋がる危険物です。特に、居間は過ごす時間が長く、整理整頓が行いにくい環境にあります。日頃から整理整頓を心がけ、床面には物を置かないようにしましょう。
最後に、転倒予防には転ばないような対策を早めにしておくことも大切です。杖や手すりは、「どうしても支えが必要な状態」になってから導入するのではなく、「支えがあった方が安心くらいの状態」から導入するようにしましょう。
当院では杖、歩行補助具の使用に関するアドバイスや転倒予防に向けた運動指導も行っています。些細なことでも気になる事がある場合は早めに受診していただくことをお勧めします。
理学療法士 魚田 翔太