2022/07/20
昨今、健康意識の高まりや栄養状態の改善、日々進歩する医療技術によって、日本の平均寿命は男性80歳、女性87歳と徐々に伸びてきています。
最近では「健康寿命」という言葉に注目が集まっています。
「健康寿命」とはただ長生きするだけでなく、寝たきりなどにならず、若いころと同じような生活を送れる年齢のことです。
日本人が寝たきりになる原因の第3位は転倒による骨折であり、介護が必要になる原因では骨折や転倒が約1割を占めるとされています。
生活の質を守り、健康寿命を延ばすためには骨折をできるだけ防ぐことが重要と言われています。
骨が弱くなる骨粗鬆症ですが、初期はほとんどの場合で症状がなく、発症自体に気づきにくいという特徴があります。
そのため痛みなど何かしら症状が現れるときには、既に骨粗鬆症が進行していることもあります。
例えば、骨粗鬆症によって背骨を骨折すると体を動かしたときに痛みが表れることがありますが、その痛みが骨折によるものだと気づかないことがあります。
骨折を放置していると、背中や腰が曲がったり、身長が縮んだりすることがあります。
骨折が起きてからでは治療も大変となり、生活の質も大きく低下します。
そうなる前に骨の強度を上げておくことが大切です。
閉経後は、運動や食事では骨の強度を大きく上げることはできにくいと言われています。
50歳代女性の10人に1人、60歳代女性の5人に1人、70歳代女性の3人に1人、80歳以上の女性の2人に1人が骨粗鬆症と言われています。
明確に何歳から受けるべきといった目安はありませんが、50歳前後で閉経を迎えた女性は1度検査を受けてみてはいかがでしょうか。
骨密度の検査は大きく分けて3タイプあります。
①超音波が骨を伝わる速度などで評価するQUS法
②エックス線撮影撮影画像の濃淡などを調べるMD法
③2種のエックス線を使って測定するDEXA法
この3タイプのうち最も精密に骨の状態を把握できるのが③のDEXA法で、骨粗しょう症の診断には、背骨の腰に近い部分と脚のつけ根の2ヵ所での検査が望ましいとされています。
当院では③のDEXA法による検査を行い、問診や血液検査等により骨粗鬆症を診断し方針を決めていきます。
骨粗鬆症を防ぐには、喫煙とアルコールを減らし、適度な運動と魚類摂取や日光に当たることなど、規則正しい生活を行うことが重要です。
それでも骨粗鬆症は遺伝の要素が強く、防ぎきれない場合があります。
定期的な骨粗鬆症検診と、必要に応じた適切な治療で、生き生きと元気に過ごしていただけたらと思います。
理事長:文野 喬太