2023/02/28
立春も過ぎスズメの鳴く季節となりました。
しかしながらまだまだ肌寒く、インフルエンザも猛威を振るっておりますので、手洗い・うがいの徹底をしたい所ですね。
寒い時期が続いているためか、リハビリ中に室内運動の質問を受ける事も多く、特に聞くのが
『寒いしYouTubeでみた筋トレをしたいんだけど何回すればいい?』という質問。
本稿ではこの質問への返答を簡潔に述べようと思うのですが、今回は答えから。
筋トレって何回すればいいのか、その答えは『正解は存在しないが、ルールは存在する』です。
持って回った答えになり申し訳がないのですが、この様な回答になる理由を3点に絞って説明したいと思います。
理由1:運動をしたい人がみんな別の人間だから
大げさな比較ですが、プロ野球選手と近所の小学生、この二人が腕立て伏せをしたいと思った時に果たして同じ回数の腕立て伏せをすれば良いと思いますか?
答えは当然Noです。職業として体を鍛えているプロ選手と体が成熟しきっていない小学生。
二人が体を鍛える時に必要な腕立ての回数が違う事は説明なくともご理解頂けると思います。そしてこの時点で『腕立ての正解の回数』は存在しない事になりました。
なぜなら、腕立てをするのがプロ選手と小学生という別の人間だから。
この比較は全ての筋トレ、人間にも共通です。『腕立て』ではなく『腹筋』なら同じ回数で良いのか?『女子高生』と『おじいちゃん』なら同じ回数の腕立てでいいのか?どちらも違いますね。
上記から『正解の筋トレ回数』は存在しないのですが、ではどうすればいいのか?
それは筋力トレの原則に従う事です。
理由2:漸進性の原則
『漸進性』というと分かりにくいですが、ざっくり言うと『ちょっとずつ増やす』という意味です。
これはトレーニングの7大原則と呼ばれるものの1つで、プロでもアマチュアでもどんな人間にも通用する明確な回数のルールです。
内容はそのまま『回数をちょっとずつ増やす』というもの。
理由1の様に運動をする人間が違うので筋トレに正解の回数はありません。更に言うと今日のあなたと1年後のあなたが必要とする筋トレの回数もきっと違う。
その様な個別の対象にも通用するのがこの『筋トレの回数をちょっとずつ増やす』事です。少し乱暴にまとめると『答えまで回数を増やす』とも言えるかもしれません。
では具体的な運用はどうなのか、それは理由3を加味する必要があります。
理由3:ケガの予防
漸進性の原則。本当に細かく言えば、最大筋発揮を調べ、それに対し何%の運動を何回から~などとても面倒くさいものです。
ですが今回の題材は気軽な筋トレであり、そんな面倒な事はしたくはありません。ですので今回留意して頂きたい事は1つ。頑張りすぎてケガをしない事です。
例えば『今日から毎日腕立て100回で来週は120回』では、へたをすれば運動初日に腕を痛めます。
これでは健康のために運動をしようと思ったのに逆にケガをして本末転倒。
ですので気軽な筋トレでは必ず少ない回数から始めて下さい。
5回、10回からで構いません。
それを週に2、3回以上一週間続け、異常がないなら5回を7回、10回を15回と小刻みに増やす。
そしてこの回数やるとだいぶキツい、という所で回数を1段階戻す。その回数で続け、しばらくたって以前キツかった回数をまたやると、キツくないかもしれません。
そうしたら回数をまた増やす。これが今回の漸進的な筋トレです。
もちろん今回の題材は気軽な筋トレでありケガや病気があれば別です。
その様な場合には病院に受診し適切な運動指導を受けて下さい。
皆様が楽しく運動を続けられる事を心より願っています。
理学療法士 弘中 匠